自宅で大麻を所持したとして、大麻取締法違反(所持)罪に問われたアイドルグループ「KATーTUN」の元メンバー田口淳之介(33)、元女優の小嶺麗奈(39)両被告に対し、東京地裁(長池健司裁判官)は21日、それぞれ懲役6月、執行猶予2年(求刑懲役6月)の有罪判決を言い渡した。当初7月30日に予定されていた判決公判が、この日に延期となった理由も判明。厚労省関東信越厚生局麻薬取締部(麻取)が、2人の家宅捜索の状況を記録した動画をテレビ番組制作会社に提供していたことが明らかになった。
元東京地検検事の落合洋司弁護士は「麻取(麻薬取締部)のサービスが裏目に出た」と問題点を指摘。捜査や取り締まりに密着するテレビのドキュメンタリー番組で使われることを期待して動画を渡していたと推測し「2被告のプライバシーへの配慮が足りない」と断じた。
落合弁護士は捜査の動画は正当な目的があると認めつつ、テレビのいわゆる「警察24時」で多用されており、判決前に第三者に渡ることは珍しくないという。「捜査機関のPRになるし、番組の視聴率はいい。この手の番組は増え、中にはテレビのクルーが捜査に同行して撮影するケースもある」とエスカレートする現状に警鐘を鳴らした。
また、警察への対抗心から最近は有名人をターゲットに捜査している麻取が、大物を挙げた勇み足で動画を流出させたとの見方を示し「もし動画が放送されれば、有名人は一般人と違い特定されやすい。プライバシーよりも優先すべき公共性があるとは思えず、限度を超えている」と批判。両被告側がプライバシー侵害で国家賠償訴訟を起こす展開もありうるとしている。