勾留却下の留学生、海外逃亡 公判打ち切り

2019年08月17日の裁判ニュース

 大麻取締法違反容疑で逮捕されたベトナム人の男(20)が、東京地裁の勾留請求却下により釈放された後、海外に逃亡したことが16日、分かった。東京地検は男を在宅起訴したが、起訴状が送達できないため、公判は打ち切られていた。

 検察による勾留請求が裁判所に却下される割合は近年、急増しており、逃亡しないことなどを定型の書面で誓約させて釈放する方式が定着しているが、守られないケースも少なくない。今回も公判への出廷を誓約していたという。地検は「逃亡の恐れがある」として勾留請求却下に対し不服を申し立てており、地裁の判断が適正だったか問われそうだ。

 逃亡したのは留学の在留資格で埼玉県川口市に住んでいた男。東京都内で乾燥大麻を所持していたとして、今年3月に逮捕された。地検は10日間の勾留を請求したが、地裁は却下。地検の準抗告も退けられ、男は釈放された。

 地検は在宅捜査に切り替え5月15日に同法違反罪で男を在宅起訴したが、男は数日後に出国していた。刑事訴訟法は起訴から2カ月以内に起訴状が被告に送達されなければ起訴は効力を失うと定めており、地裁は7月19日付で公訴を棄却し、公判を打ち切った。

 勾留請求をめぐっては、今月7日、東京地裁が4月に勾留請求を却下した東京都迷惑防止条例違反(痴漢)容疑の男が、誓約に反して出頭要請に応じないため、地検が同じ内容の容疑で逮捕。起訴に踏み切る異例の対応をしたばかり。


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